テニス選手の誕生月検証まとめ。何月生まれかでどこまで差が出るのか?1月・2月・3月生まれはどこまで有利なのか?
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過去2回にわたって、テニス選手の誕生月による戦績分布を調べてみました。ジュニアの頃は、生まれた年や学年で大会がカテゴライズされます。例えば西暦で区切られた場合、1月生まれの選手の方が12月生まれの選手と比べて発育が早く、有利なのではないか?と思ったのがデータを取ろうとしたきっかけです。前提条件の確認ですが、あくまでITFジュニアを基準に各年代の1月を先頭と考えます。日本だと4月生まれが学年の先頭に来ますが、国際基準はそうではありません。全日本ジュニアなどと同じです。日本は1月区切りと4月区切りの両方のタイプの大会があるので、早生まれなんて言葉で、一つ学年上なのに下のカテゴリーで出て得しているなんて思われてます。早生まれという表現と、1月・2月・3月生まれという表現で悩むところです。今回は1月・2月・3月生まれという表現で行こうと思います。
まず1回目の検証
ジュニアテニスで1月・2月・3月生まれはどれくらい有利なのか?ジュニア世界ランキングで検証してみた!!
ITFジュニアランキングのトップ500位の誕生月を調べました。調べたのは2017年2月13日のランキング表です。男子は1999年生生まれから、2002年生まれまで、女子は1999年生まれから2003年生まれまでの選手がランキング表にいます。誕生月の分布を3ヶ月ごとにまとめると、男子は、
女子は、
こういう結果になりました。毎月のデータは過去記事にあります。男子は誕生月が遅くなるごとに、見事に人数も下降線になっています。女子に関しては、4月〜6月生まれと7月〜9月生まれにあまり差はありませんが、1月〜3月生まれと10〜12月生まれには、男子と同様にかなりの差があることがデータからわかります。結果として、
ジュニア時代は、生まれ月が早い方が有利である
ということが言えると思います。そしてそれは発育が早いからであるという仮説を立てることができます。
2回目の検証
1回目の検証の記事にあるように、このデータだけではわからないことがあります。1999年10月〜12月生まれの選手と2000年1月〜3月生まれの選手の数を比較する必要があります。発育の早さだけが、1回目の検証の原因であるならば、1999生10月〜12月生まれの選手の方が発育が早いので、人数は多くならなければなりません。そこでデータを取ってみると(ここからは男子のみ)
1999年10月〜12月:2000年1月〜3月
男子・・・34:62
という結果になりました。2000年1月〜3月生まれの方が圧倒的に多い。ちなみにもう1年後の世代同士も比べてみると
2000年10月〜12月:2001年1月〜3月
男子・・・22:24
とほぼ同数。どちらも先に生まれた方が人数が多いというデータにはなっていません。上の方なんて2倍ほどの開きがあります。ということは、
生まれ月が早い選手の人数が多いのは、発育の早さだけが原因ではない
と考えられます。他の原因として考えらえるのは、
①U12やU14の時の区切りの年齢で、高いランキングにいたので、ITFに出ても国内ポイント順に大会に出やすかったなどの恩恵があった
②U12やU14の時の区切りの年齢で、高いランキングにいたので自信がついている
③U12やU14の時の区切りの年齢で、高いランキングにいたということは質の高い良いテニスが身についている
などでしょうか。
単なる発育スピード以外の要素がありまそうです。
3回目の検証
ジュニアテニスで早生まれはどれくらい有利なのか?Part2!トップ選手の割合に注目して検証してみた。
2回目の検証で出たデータを元に、さらに掘り下げてみました。1999年10月〜12月生まれの34人と2000年10月〜12月62人が、1位〜500位のなかでどのようにランキングされているかを調べました。
1999年10月〜12月生まれ
2000年1月〜3月生まれ
縦軸の人数が違うのでわかりにくいですが、トップの選手の数は変わらない
ことがわかります。
このデータから、
①トップ選手の数はほぼ同じ
②100位以下の選手の数が違う
①トップ選手の数はほぼ同じ
トップ10に入っている選手の数は2人ずつで同数。トップ100だと10人と9人なのでこちらもほぼ同数です。
②100位以下の選手の数が違う
100位以下の選手の分布はご覧の通り。上のグラフは少しガタガタしているように見えますがこれは縦軸の人数が少ないため。上と下のグラフで違いがないように見えますが、実際は下の2000年1月〜3月生まれのグラフは縦軸の数値が約2倍です。100位以下の選手数は、
1999年10月〜12月生まれ・・・24
2000年1月〜3月生まれ・・・53
と2倍近くも差が出ます。このことから、
生まれ年が早い方がたくさんのチャンスを得られるが、その中でトップに行くことができる数は同じである。
ということがわかります。
最後にジュニア男子のトップ50の誕生月を比べてみると、
となりやはり早く生まれている方がランキングの上位を占めています。
最後に世界の男子トッププロ500人で調べてみた!!
ジュニアの頃は誕生月によって差があるということは否めないのではないかと思います。ではトッププロはどうなのでしょうか?2016年12月12日付の男子ATPランキングのトップ500人を誕生月で三ヶ月ごとにグラフにしました。
1月〜3月:4月〜6月:7月〜9月:10月〜12月=25.6%:29.6%:23.0%:21.8%
という分布になります。若干10月〜12月が少ない気がしますが、ジュニアの頃ほど差がないのがわかります。テニスは競争環境が平等に作られている証拠だと思います。プロになるのが高校卒業や大学卒業など、タイミングが決まっている野球やサッカーなどではやはり4月〜6月生まれの選手が多いようです。日本の区切りは4月なので、ジュニアITFの1月区切りとは違ってますが、区切りの先頭にいる方が優位性があるようです。
【序章: Jリーグ編】やはり早生まれはスポーツ選手には向かないのか!?
まとめ
最終的には誕生月による差はなくなるテニスですが、途中経過では明らかに差があります。このことをジュニア時代のプランニングにどのように役立てていくのかは、大切になってくると思います。チャンスがもらいやすいのは1月〜3月生まれ。でも最後に残こるのはやはり実力がある選手。それには誕生月は関係してこない。
うまくランキングを上げていくために、また、しっかりとした実力を結果だけに惑わされずにつけていくために、このような統計結果は大切にしていこうと思います。
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