ジュニアと親を苦しめるポイントシステムを解説!! ジュニアランキングを上げるための複数年計画の年間スケジュールとは。
テニスはオフシーズンなし
ジュニアテニスはオフシーズンがありません。国内のジュニア大会は年中あります。暑い寒いに関係なく行われます。一見すると自分が出たい時に、いつでも試合があるからええやん!って考えがちですが、ランキングを上げるためのシステムを理解するとなかなか笑えない話になります。
各都道府県によっても少し異なりますが、大阪を例に挙げて書きますと、
①サテライトと呼ばれる小規模大会。(大会によって対象となるランキングが異なります。)
②年間3大会の大きなポイントがかかる大規模大会。(エントリーすれば誰でも出られます。)
があります。①は年間を通して、②は夏、冬、春の長期休暇に合わせるように開催されます。(夏の大会はここ数年は64ドロー)
小規模大会➡︎大規模大会➡︎関西大会
サテライト大会でポイントを重ねて、②の大会でシードをゲットして、好成績を狙うということが目標になります。そして②の大会で好成績を収めると、関西サーキットと呼ばれる大会に出場できます。6大会+マスターズで構成されているこの大会で好成績を収めると、関西ポイントがもらえます。
関西ポイントの多い順に関西ランキングがつき、ランキング上位者は、春の大阪ジュニアを勝ち抜いた選手が出場できる関西ジュニアでシードがつきます。関西ジュニアで上位に進出すると全日本ジュニアへの出場権を得ます。全日本ジュニアに出るには、大阪ジュニアを勝ち抜いて関西ジュニアに出場、そして関西ジュニアを勝ち抜く必要があります。仕組みとしては、大阪ジュニアの予選から負けずに勝ち上がれば、それまでのランキングは低くても全日本ジュニアに出ることはできますが、現実はそんなに甘くありません。
重要になる少しの差
全国大会の予選、関西なら関西ジュニアという大会ですが、その大会でシードがつくかどうかがとても重要になります。全国大会への出場切符が10枠あるとすると、全国大会参加資格は、『関西ジュニアでベスト8以上+ベスト16からシードが高い順に2名』になります。関西ジュニアでシードがつくとベスト16で負けても全国大会に出られる可能性が高まります。そしてシードがついていれば、早い段階で強い選手に当たらないので、上位進出の可能性が高くなります。
関西ジュニアでシードがつくには、関西ポイントが必要で、それには関西レベルの大会で勝つ必要があり、関西レベルの大会にでるには、都道府県大会で好成績を収める必要がり、都道府県大会で好成績を収めるには、都道府県大会でシードがつく必要があり。。。という感じでポイントを積み重ねる必要があるんです。つまり。。。全日本ジュニアなどの全国大会に出場するには、大会に出続けてポイントを積み重ねる必要があります。休むことは許されません。休まずに試合に出続ける必要があります。
うまくステップアップしていくジュニアの例
私が指導してきたジュニア、マネージメントしていたジュニアアカデミーからはたくさんのジュニアが全日本大会に出場しました。その選手達の試合の出場パターンを参考に書いてみます。
小学1年くらいから試合に出て負けて経験を積んでいます。 大会の年齢の区切りは、U12・U14・U16・U18です。小学1年でもU12に出場しますので、最初は勝てません。ですが、自分より大きい選手と競いながら経験を積んでいきます。
小学3年くらいから少しずつポイントを積み重ねています。だいたい3年生くらいから少しずつ勝てるようになります。早い子は3年生で大阪ジュニアなど主要3大会で予選を上がります。
小学4年では、主要3大会で予選を上がり、本戦でも1回か2回勝ちます。そうすると関西ジュニアに出場できます。小4の時点で関西ポイントをゲットします。U12の最後となる小学時代5年では、大阪で優勝や準優勝。関西でも優勝を争ったり、駄目でもベスト8以上。ということは。。。小学1年から休みなく大会に出続ける必要があります。もちろん稀に能力が高いジュニアは、テニスを始めて数年で関西でトップクラスまで来ますが、そうはいません。
ポイントを取ることに縛られてしまう。
とにかくポイントが欲しい。ポイントを積み重ねたい。ポイントの有効期限は1年です。1年経つとポイントはなくなります。ということは、ますむす休まずに出続けなければならないとうことです。中3の選手でも、ポイントを積み重ねなければならないので、受験勉強中でも冬の大きなポイントがかかった大会には出場する選手がほとんどです。(これについてはまた別記事で。)
ジュニア期は実力をつけるため、このようなポイントシステムに踊らされすぎないようにしなければならないです。きちんと育成のプログラムができて、信頼できるコーチがいる場合はこの限りではありませんが、そんなコーチを独り占めするのもなかなか困難です。少しでも効率よく大会選びをしたいのが親心でしょう。ポイントシステムを良く勉強しておくことは大切です。おおまかに言うと繰り返しになりますが、
『小学6年で全国大会で活躍している選手は、小学3年くらいから少しずつポイントを積み重ねています。小学3年でポイントを取るために、小学1年くらいから試合に出て負けて経験を積んでいます。』
この流れに乗るのが一番いいと思います。途中から参戦するとかなりの努力が必要になります。早いうちから試合にどんどんチャレンジし、休まず出続ける。保護者の皆様のサポートなしでは成り立たたない現実があります。
注目記事
- ヨーロッパのコーチが選手の素質を見抜く時にまず注目するところ
- オレンジボールやグリーンボールはいつまで?
- ジュニアテニスで一気に伸びるために必要な行動
- ジュニアと親を苦しめるポイントシステムを解説!! ジュニアランキングを上げるための複数年計画の年間スケジュールとは。
- 世界中、強くなるジュニアが、テニスの練習でやっていること
- お子様に『お前は足が遅いなぁ〜』とついつい言いたくなる時に参考にしたいオーストラリアンオープンテニスのスピードデータの読み方