バルセロナでチャレンジ中の寺島コーチにテニスヨーロッパU12についてインタビュー


8月5日〜11日まで、スペイン・バルセロナのサンチェス・カサルアカデミーで、テニスヨーロッパU12が開催されました。現地でコーチチャレンジ中の寺嶋コーチに大会のレベルや参加選手のテニスについてインタビューしました。

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ではインタビュースタートです。

(写真は昨年のテニスヨーロッパU14の様子)

参加選手はスペインが多かったですか?

このドロー表も見てもらえればわかるように、ヨーロッパ中から選手が集まってきています。低年齢の頃から国境をまたいで競争することが当たり前なのだと、あらためて感じました。

今大会のドロー

試合の観戦しての第一印象を教えてください。

率直に言うと、12歳以下の大会なのですが、日本の14以下の大会に見えました。ラリーがよく続きますし、ボールの伸びや技術のクオリティなどを見ても、日本の14歳以下と同じくらいハイレベルでした。

日本の12歳以下と違うと感じたのはどんなことですか?

まず男子ですが、攻守の区別がしっかりできていて、一つのポイントの中で攻守の逆転が頻繁に起こります。守っているようで攻めていたり、攻めているようで実は相手のミスを待っていたりと、ずる賢いというか頭が良いという印象です。

そして女子選手は、この年齢でテニスの完成度が大人並みに高かったです。ラリー戦からきっちりとストレートに仕掛けて行くスタイルができています。女子の方が大人のツアーに出て行く年齢が早いことも影響しているのかなと感じました。

日本のジュニアにない良いところはどんなことですか?

とにかく粘り強く諦めないことです。取れないようなボールでも最後まで走ります。こちらに来るまでは、粘り強さでは日本人の方が上かなと思っていたのですが、間違いだったと気づきました。こちらの選手は、みんな練習では、すぐ諦めるし、あまり追いかけないんですけどね、笑。試合になるとボールへの執着心が、練習中のそれと全然違います。

(大会会場のサンチェス・カサルアカデミー)

日本のジュニアの方が優れているのはどんなところですか?

サーブの技術とリターンです。クレーコートなので、良いサーブや良いリターンを打ってもラリー戦になるというのが大きな原因かもしれませんが、サーブとリターンは弱いと感じました。対戦するとしたら、リターンからの攻撃に勝機を見いた出せそうです。

男女のテニスに違いはありますか?

男子の方がテニスがより立体的で、速いボールをそれほど多用しません。フットワークのリズムもゆったりしています。女子は展開が早くそのぶん足も速く動かしている印象をえました。

引率している保護者の方はどうでしたか?

ほとんどの選手がお父さん・お母さんと来ていました。空き時間もお父さん・お母さんと練習していました。中には、普段は1日6時間練習してプロを目指しているご家庭もありました。今はネットプレイを増やそうとしているなど、勝つことにこだわりながらも、プレイの向上も重視していました。試合観戦は、真横で見る保護者もいれば、遠くから見る方もいました。

日本のジュニアがここで勝って行くにはどんなことが必要ですか?

まずは先ほど触れたように、リターンで主導権を握ること。それから、ディレクション・チェンジを繰り返して、相手を動かすこと。攻めるためにコートの中に入って行くことが求められると思います。ただラリーをしているだけでは、ポイントをくれないので、自分から仕掛けていく、そして日本人のスピードを生かすにはコートの中に入っていくしかないと思います。後ろで付き合う能力も必要ですが、付き合いすぎると相手のペースになるので、コートの中に入っていきたいですね。それには、かなり基本の能力が高くないといけいないと感じています。

最後に全体の感想をお願いします。

12歳までにこの高いレベルのテニスができるような教え方が必要なんだと感じました。日本で教えていた子供達に、もっと高いレベルを求めるように指導したいです。そのために今回の高いレベルを見れたことは、本当に勉強になりました。テクニックは日本の方が綺麗です。そこに何を加えればヨーロッパでも活躍できるのか?が少し見えてきました。来週はU14のテニスヨーロッパがあるので、また勉強します。

P.S.寺島コーチは、サンチェス・カサルアカデミーでの働きぶりが認められ、9月以降もバルセロナでコーチとして働けるようになりました。インタビューにもあるように、世界に通用する選手を育てるため、バルセロナでコーチとして働きながら勉強するチャンスを自らの努力で手に入れました。益々努力を積み重ねて、日本の選手育成には欠かせない存在になってくれるでしょう。今後も定期的にインタビューを続けて行きます。お楽しみに!!

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