バルセロナでチャレンジ中の寺島コーチにテニスヨーロッパU14についてインタビュー
(写真は昨年の同大会)
8月19日〜26日の日程で、バルセロナのサンチェス・カサルアカデミーにてテニスヨーロッパU14が開催されました。大会のグレードは一番高いグレード1です。現地でコーチとして活躍する寺島コーチが大会を観戦したのでインタビューを行いました。
ではインタビュースタートです。
(寺島コーチ)
参加している国はどこが多いですか?
グレード1ということもあり、ヨーロッパ中から集まっています。西欧だけなく、北欧や東欧からも選手が集まり、オールヨーロッパという感じです。
大会を見て率直な感想をお願いします。
U12の時と同じで、日本のジュニアのレベルよりも2年先を行っている印象です。U12はU14に感じましたが、今回のU14はU16に感じました。日本のジュニアもどんどん上手くなっていますが、同様にヨーロッパもレベルが上がっていると感じます。
(写真は昨年の同大会)
2週間前にU12を観戦したと思います。U12とU14とでどんな違いを感じましたか?
男子と女子で感じたことが違うので分けて答えます。まず男子は、日本のU16やU18のミスが多い版という感じでしょうか。パワーがついてきているので、U12の試合と全然印象が違います。U12の時に感じたサーブが弱点という印象はまるでなくなっていました。とにかくサーブがエグいです。そしてストロークの回転量なども含めて、パワーがとにかくすごい。迫力が全然変わっています。
対して女子は、パワーはついてきていますが、テニス自体に大きな変化は感じませんでした。U12の時点でクオリティが高かったということもありますが、U12の選手がそのまま大きくなったという感じです。
男女共通して感じるのは、日本のジュニアよりはミスが多いというところでしょうか。
日本のジュニアが劣っているのはどんなところでしょううか?
何かしようと、変化をつけることが日本ジュニアはには少ないのではないでしょうか?ヨーロッパのジュニアは、変化を積極的につけていきます。そしてつける変化の幅が大きいと感じます。
(写真は昨年の同大会)
では、日本のジュニアの方が優れているところは?
安定感は日本人の方が確実に高いです。ミスが少ないのは日本人ジュニアです。そこには、『自分から仕掛けて行かないから』というマイナス面も含まれていますが、同じボールを打ち続けられるという、我慢強さは日本人の方があると感じます。それはマイナス要素でもありますが、武器にもなると思います。
選手のサポートはどうですか?
U12の大会では保護者の引率が多かったですが、U14になると、保護者も来ますが、コーチが引率しているチームがほとんどでした。保護者もコーチも他国の保護者やコーチとコミュニケーションをとって、情報交換を頻繁にしていました。
(大会会場のサンチェス・カサルアカデミー)
男女のテニスは感じましたか?
女子のテニスは、横の動きが多く、相手を左右に動かしてポイントにつなげるケースが多いです。U12の時からそうですが、しっかりと打ち込んで仕掛けていきます。
対して男子は、女子よりも立体的で前後に動かせる配球が多くなります。U12の時よりもパワフルになるので、スピンが良く効いて、相手を後方に下げるショットが磨かれています。サーブも速くなっていますし、一気にレベルが上がっているという印象です。
日本ジュニアがここで勝って行くためにどんな練習をさせたいですか?
当たり前ですが、14歳になるまでに、ここで戦えるレベルに育てることが求めれます。ここで勝てるための基本的な技術を日本で練習することが必要になります。難しいのは、ヨーロッパの選手と比較しながら練習できないので、なんとかして比較しながら向上心を持って練習して行くことが必要でしょう。パワーやディフェンス力では、最終的には上回れないと感じるので、攻撃的にコートの中に入る動きで上回れるように、日本で練習できれば、ここで勝てる可能性は高くなると思います。
P.S.テニスは陸上や水泳のようにタイムで競う競技ではないので、簡単にヨーロッパとの比較ができません。テニスにおける攻撃力・守備力・機動力、どれをとっても簡単に数値化できるものではないので、同じコートに立って相対評価をするしかありません。テニスの中心地から地理的に離れている日本にとって、もっとも困難な要素です。
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