インスタントな敗因。。。


1年間で最も重要な大会といってもいい『大阪ジュニア』が行われています。まだすべてのカテゴリーが終了したわけではありませんが、予選を突破した選手もいれば、負けた選手もいる。本戦で始めて1回勝てた選手もいれば、シード選手にあっさり負けた選手もいる。コーチとしては、負けた試合を分析して次なる練習に生かさなければならない。
その時に僕が心がけていることがひとつあります。インスタントな原因を見つけ出さないことです。ああすれば良かった、こうすれば良かったというのは、単なる後悔です。そして試合の中では、それは『させてもらえなかった』と解釈した方がいいと思います。
もっといえば、僕はこの『原因』という言葉もあまり好きではありません。なんか負けたのに往生際が悪いような気がする。なんでもかんでも『原因』を探し出そうとすることは、『真剣勝負』に対する礼儀を逸していると思う。『原因』という言葉に関しては、僕は次の説明が絶妙にすのニュアンスを表していると思う。
「原因」というのは、「原因がわからないとき」にだけ人間の脳裏に浮かぶ概念なんです。
内田樹さんの言葉です。僕はプレイヤーが負けた時に、この言葉を大切にして敗戦と向き合うようにしています。
なんで負けたんだろう?あそこで逆クロスが打てたら。デュースまでいくのにその次がとれない。リードするのに逃げきれない。考えればきりがない。
でもそれは『原因』ではなくて『結果』ではないでしょうか?『結果』として逆クロスに打てなかった。相手が打たせなかった。『結果』としてデュースからとれなかった。相手が上回っていた。その『原因』は?と考える行為は、『原因がわかっていない時に脳裏に浮かぶ行為』です。
単にレベルが追いついていなかっただけ。そのレベルに達するまで、また地道な練習を繰り返す日々を続けるのみです。それは、大会前から取り組んでいることの繰り返しです。もちろん、新しい感覚に出会ったり、今までできなかった技術の習得は必要不可欠です。地道な日々の中には、そういうことも、もちろん含まれています。
先日、GAORAでマイアミの2回戦、ナダル対錦織を見ました。4ー6 4ー6で錦織選手は負けてしまいましたが、とても白熱したラリーが繰り広げられました。その試合後の錦織選手のブログに興味深いコメントがありました。
あそこまで攻め続けるのはリスクがあるので毎試合はできませんが、自分から攻めてポイントを取るのはやはりとても気持ちがいいものです。
なんかすごい発見でした。僕のような3流よりもはるか後方の8流くらいのプレイヤーにもこの感覚はあるからです。錦織選手のブログをチェックして1番良かったと思った瞬間でした。
世界トップレベルで戦う錦織選手でも、リスクがあるプレイは毎試合はできないと言っています。格上相手だと攻められる。格下相手だと気持ちよくは攻められない。テニスはそんなもんです。『デュースまでいくのに。。。』相手が格上なら攻められるし思い切りプレイできる。デュースまではいける。でもそこからあとが実力差です。
相手が格上なら、あとここで『逆クロスが打てれば。。。』というところまではいける。でも相手が少しでも戻る動きを見せたり、返球に強いスピンがかかっていたりでその1球がでない。
インスタントな原因ではなくて、本質を見極めてまた地道な毎日を続けていく。インスタントな原因を見つけて課題を作り、満足して安心するよりは、今の自分の実力をとことんまで冷静に見つめることも重要だと思います。
もちろん、僕は原因に対して話し合うことや、試合を見て思ったことを思ったままアドバイスする行為のことを否定しているわけではありません。指導熱心な方の気分を害していたら、すいません。
プレイヤーと距離が近いほど、感情的になったり、『なぜ負けた』という原因究明の思考が頭の中を夜通しぐるぐるま回るのは、人間なら当たり前のことです。僕もそうです。そして負けた選手自身はなおさらそうでしょう。寝れない夜がないと強くはなりません。
ただ、指導者としてそれとは別にもう一歩俯瞰した、もう一歩慎重な、もう一歩経験を生かせる視点を持つことが大切だと思っているだけです。

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