世界中、スポーツを通じて学べることは、努力し続ける能力。年下留学生の思い出。
私は今を遡ること14年前の26歳の時、バルセロナにあるテニスアカデミーにテニス留学をしていました。そこには3タイプの日本人がいました。スポンサーのお金できている人・親のお金できている人・自分で貯めたお金できている人。私は自分の貯金で行ってました。私の他にももう一人、自分の貯金できている私よりも若い(22歳くらいだったかな。)選手がいました。自分の貯金できている選手は、貯金が尽きると帰ることになります。余裕がありません。日々の肉体的にキツイ練習の積み重ね以上に、精神的にも自分を追い込んでしまいます。私は26歳と社会人経験も積んでいましたから、なんとか精神的に持ちこたえていましたが、その選手はある日、コーチと喧嘩してしまいます。
理想の環境で頑張るがゆえの不安
『ここで頑張ればプロ選手になれるって言ったのに、全然強くなれないじゃないか!!俺はいつ強くなれるんだ!!』
語気は荒げていますが、顔は泣きそうです。その時、対応していたのはアンヘルでした。彼は自信を持って、
『ここにいれば必ずプロ選手になれる。そいういう練習をしている。だけど、チャンスがいつ来るかは誰にもわからないんだ。』
無駄に励まさずに、真っ向から正論で返します。怒った選手もそれ以上は言い返すことはできません。アンヘルさらに、
『頑張って明日もコートに立つんだ。そうすれば何か起こるから。』
優しくそう付け加えて去って行きました。
当時の私には、その選手の気持ちがわかったので、その後少し話をしました。海外留学で理想の環境を手に入れていることは、羨ましがられることです。が、理想の環境で理想的な努力をし、それでも結果が出ない中で、なんの娯楽もなく自分と向き合い続けることはなかなかタフな生活です。こういうことに耐えられるタフさは、テニス選手に不可欠だと思います。
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日本の師匠の言葉
私は彼に、私の日本でのテニスの師匠の言葉を伝えました。
『テニスは何がきっかけで強くなるかわからないだから、何かきっかけが起こるまで努力し続けるしかない。』
まだ22歳の彼は、不安に押し潰された表情をしながら聞いていました。この言葉の裏には、きっかけが来なければ強くはなれない。という意味がありますから、ある意味残酷な言葉です。
テニスで学べること
でも、努力し続けてもきっかけが来なかった人には、努力し続けることができたという財産が残る。たぶん、テニスの次の人生ではきっかけが訪れるんじゃないかな。江坂のコーチ時代は、そんな気持ちで選手たちと日々、対峙していました。
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