海外留学への思い!


海外へ行く様々な理由

ある保護者との留学相談での会話①

留学希望ジュニアのお父様①:『毎日会社で働いていると、あと5年10年経つにつれて、私たちの学んできたことって通用しなくなるなぁって感じるんですよ。』

私:『どういうことですか?』

留学希望ジュニアのお父様①:『我々は、努力・根性で生きて来た世代ですから。今の20代はそれではついて来ません。それに自分達の感性はグローバルで通用しない。』

私:『と言いますと?』

留学希望ジュニアのお父様①:『これからは内需が減って海外に飛び出していかないといけなくなる。自分達の子供にはグローバルな物の考え方を学んでもらいたいんです』

最近留学相談をした、建築系の会社経営のお父さんはこのように思いを語ってくれました。私の留学相談はコーヒーを飲みながら喋るだけです。挨拶をして注文をします。そしてコーヒーを飲みながら海外のテニス環境の話をし始めますが、コーヒーがなくなる頃には上記のような教育論の話になっています。2時間ほどの会話のうち半分以上は教育論の話になることも少なくありません。もっと多くの時間を教育論の話に割く場合もあります。

ある保護者との留学相談での会話②

ある会社員のお父さんは、

留学希望ジュニアのお父様②:『テニスはツールだと思っています。テニスという共通言語があれば、海外の選手と交流が容易にできる。子供にはテニスを使って世界中の人たちと交流を持ち、グローバルな人材に育ってもらいたんです。』

私:『実際に私の遠征ではたった2週間でも、子供達はそのツールを使って、海外の選手とコミュニケーションをとっていますよ。練習中、試合後、そして食事中とテニスができればコミュニケーションの機会は増えますよね。』

留学希望ジュニアのお父様①:『テニスはもちろん強くなってもらいたいですが、それ以上に人間としてグローバルな感性を身につけてもらいたいと思っています。』

このように語ってくれました。奇しくも私のウェブサイト(テニスコーチ.jp)には、『テニスは世界の共通言語だ!』と書いています。それを知ってか知らずか、私と同じような認識を持っていただいていることに感動しました。テニスをすることで得られることはテニスの実力だけではありません。テニスを通じて豊かな将来のために必要なことを学んでもらいたいというのは、保護者・指導者の共通の思いなのです。また日本は小さな島国ですから、大会に行ってもいつも同じ顔ぶれ。知らず知らずのうちに閉塞感が生まれてきます。気にしてはいないつもりでも、ついつい近くのライバルが気になり、小さいテニスにまとまりがちです。海外に飛び出すのはそんな閉塞感から抜け出し、広い世界でチャレンジしたいという思いを叶えることができます。

海外のテニス環境

豊富な練習時間・豊富な競争環境、2002年 私自身のバルセロナのサンチェス・カサルアカデミー留学経験より

・練習量の多さ まだ打つの?こんなに全力で?

『何球打つんだよ、息が苦しい、足が思うように動かない、手に力が入らない。』

11月とはいえ、バルセロナの太陽が顔を出すと、ポカポカ陽気を超えて暑い。そのまま打ち続けていくと、

『まだ続けるの?もうボールは全く伸びていないし、正確にラケットの真ん中で捕らえられていないんだけど。』

と頭の中は、ネガティブな発想でいっぱいになってきます。汗でグリップは滑りそうになるし、インパクト当時に力を込めるために出す声も最後まで全力を出しきるため、どんどん大きくなっていきます。

『くそ!こいつ、いつまでボール出し続けるんだよ!限界なんてとっくに超えてるよ!』

と逆ギレ気味の思考になった頃にやっとコーチのボールを出す手が止まります。2012年11月、バルセロナにテニス留学に来た私は、コーチから出されるボールを全力で打ち続けながら、そんなことを考えていました。小柄だけど胸囲1mあるんじゃないのってほど胸板が厚いスペイン人のコーチは、大きくて白いプラスチックのバケツに入った80球ほどのボールを、『全力だ!もっと強く!もっとスピンをかけて!』と威勢のいい声を張り上げながら、口も手も休めることなく出し続けてきます。世界で活躍するプロを目指す選手がトレーニングをしている、テニスコートと宿泊施設、学校が一体型になった環境。安い家賃の古い物件に引っ越しして数年間で貯めた貯金で、スペインに乗り込んだ26歳の私は、一体どんなすごい練習をするんだろう?と期待して練習に参加していました。そんな期待通りというべきなのか、それとも期待とは裏腹にというべきなのか。そこで行われていたのは、コーチが手で出したボールをひたすら打ち続けるという、とてもシンプルな反復練習でした。

テニスが強くなる魔法のコツみたいなものがあり、それを習うために20代前半の遊びたいお金を貯金通帳に積み重ね、仕事も捨てて乗り込んだスペインで出会ったシンプルすぎる練習。でも当時の私の頭の中は、『これだ!!これなんだ!!』という最高の練習環境に出会えた喜びでいっぱいでした。クレーコートの赤土がガットとの摩擦で擦り込まれていて、激しく打つことで毛羽立ち、膨れ上がったボールを拾っているとここの練習がいかにハードなことの積み重ねなのか伝わってきます。

『打点はいつも高く一定に保つんだ!そして用意を素早くしてボールの後ろから入ること、しっかりと回転をかけて打ち抜くことが大切だ、いくぞ!!』

そういうと、また80球の繰り返し、球出しのパターンは全部で12種類くらいしかない。スペインドリルと呼ばれるこの練習は、内容はシンプルだけど、やりきるためには強い精神力、体力が必要。正しい形を学びながら心も身体も同時に鍛えられます。そしてそんな練習が1日6時間続けられます。

『まだやるの?まだ打つの?まだ走るの?』

留学当初は、そんなことばかり考えていました。ですがこのアカデミーで練習するジュニアやプロ選手達も、苦しい顔をしながら毎日コートに立っています。26歳という年齢は若くはありませんでしたが、こんな環境に来ることができたという喜びの方が大きかったです。

・テニスだけに集中できる生活

『間違いなくこれ以上の環境はない!ここでやれるだけのことをやってみよう!』
バルセロナでの初日を終えてそう感じました。朝起きてベッドから出ると宿泊施設の階段を降り、教会だった建物を改築して作ったクラブハウスに行き朝食を摂ります。そこから寝るまでテニス漬けの1日のスタート。白い教会風クラブハウスの前には、クレーコート13面、ハードコート10面、人工芝のコート2面が広がっています。そのほかにも大きなトレーニングジムと学校の建物が一つの敷地内にあります。私が留学したテニスアカデミーは、テニスを中心に生活が回るという夢のような毎日が実現できるところでした。起きて練習して、昼寝して練習して寝る。そんな毎日。昼寝も合わせると1日に12時間ほど寝ていましたが、それくらい寝ないと身体が持たないようなタフな練習が毎日続きました。

『アメリカ生活はとても忙しかったのに、ここではとても快適。一つの場所にテニスコート・学校・宿泊施設があるからとても便利。アメリカの頃は移動ばかりしてとても大変だったわ。』

アメリカから短期留学でバルセロナに来ているジュニア選手のお母さんがそう話してくれました。1日6時間の練習。しかも内容はスーパーハード。その上学生は勉強もしなくてなりません。年齢によってカリキュラムは異なりますが、テニスの練習は少なくても5時間はあります。テニス練習・学校・食事の時間・睡眠時間をしっかりと確保できる環境は世界中でもそんなにたくさんはありません。寝ても覚めてもテニス。遊びたくてもアカデミーがある場所は、空港近くの都心から離れている所なので周りには何もなし。そしてテレビもなく、無駄に奪われる時間がありません。練習後は、自分のテニスと向き合い考える時間が増えます。自分の弱さ、甘えとしっかりと向き合い、後悔しないチャレンジをすべく日々を過ごしました。

海外留学を経験することで得られること

人間的な成長ができる!

テニスに集中して自分自身と向き合いながら努力ができる貴重な経験ができます。生活面でも自立して、自分のことは自分ですることで責任感が生まれます。また語学の上達を含めた、異文化コミュニケーションの向上はこれからの人材としては欠かせない能力です。海外留学を経験することでその後の人生に大きな影響を与える体験をしてもらいたいと思います。

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