早くから英才教育か?余力を残すのか?ナダルのコーチの言葉が示す理想のチャレンジ。


こういう本を読みました。こういった情報はサッカーの方が入手しやすい。ジュニアの頃は、メッシと同じチームでプレイし、将来を嘱望されていた選手達が、なぜ大成できずに消えていったのか?について書かれた本です。ちょっとシリアスな内容ですが、綿密な取材をされて書かれているので引き込まれます。ジュニアの頃に強かったけれど、大成しなかったというのはスポーツではよくあること。頑張っている選手やサポートしている人達からすると余計なお世話で、成功してもしなくても悔いのないチャレンジをしてもらいたいです。ですがこういう本を読んで情報を得ておくことは、コーチにとっても保護者の方々にとっても大切なことだと思います。

身体の発育が早かった

最初にそれに気づいたのは、何でもない体と体の接触だった。昔なら吹っ飛ばしてたんだが、それがどうにもうまくいかなかったんだ。気のせいかと思ったよ。いや、そう思おうとしたのかもしれないな。

ディオン・メンディというメッシとともにジュニア時代にゴールを量産していた選手が、残した印象的な一言です。身体の発育が早く、ジュニア期にはその優位性があったが、周りの発育が追いついてきて通用しなくなった一例です。

勝負の世界に耐えられるタフなメンタリティが備わっていなかった

失敗することはできない。幼心に、そんな思いがあったんです。やがてそのプレッシャーに耐えられなくなり、試合のたびに、僕は嘔吐するようになりました。

フェランというスピードに乗ったドリブルが得意だった選手の言葉です。ものすごい才能の集まりだった世界でプレッシャーに耐えきれなかった一例です。

テニスにもそのまま置き換えて考えられること

テニスにおいても参考になることばかりです。ジュニア期のスポーツは年齢別でカテゴライズされることがほとんどで、±2歳考えなければならないと言われる発育の早さに関しては、早い方が優位性があることは確か。ですが後にそれは追いつかれることも確か。コーチは選手が何ができて、何ができていないのかを見極めて取り組んでいくことが求められます。メンタル面でのサポートも同様で、特殊で激しい競争に揉まれますから、周りのサポートは不可欠です。こう書いていると、早くから成果を出してもしょうがない的な意見に落ち着くこともありますが、情報というのは、逆の視点からも仕入れておいた方がいいですよね。というわけでこちらの本。

早熟な選手の方が有利というデータがある。

この本では早熟な選手の方が明らかに有利であるというデータが書かれています。ワイルドカードがもらえて、下積みのポイント獲得ドサ廻り期間がなくて済むということだそうです。世界のトップのトップを目指す場合の話です。同時に晩成型でも十分に世界で通用するというデータを添田豪選手のデータをもとに書いてくれています。そして私のコーチ経験では、U12の頃は全然強くなくても大学ではインカレで活躍したという例はたくさんありますので、国内で活躍ということを考えると、始めるのが少々遅くても問題なしです。

個人個人の目標をしっかり作ることが大切

テニスは個人競技ですし、補欠がなく誰でも試合に出られる良いスポーツです。自分にあったチャレンジを続けていくことができるスポーツとも言えます。早くから英才教育で追い込んだ方がいいのか、それだけが全てではないのか?いくら考えても答えは簡単には出せません。できるだけ情報を集めて周りに流されずに、各ご家庭・コーチで話あってそれぞれに合ったチャレンジを構築することがベストです。ナダルのコーチのトニーさんが、『ラファが未来何をするのか知りませんが、彼は今まで成し遂げた業績に満足し、幸せな気持ちで引退することは間違いありません。』と言っていたのを思い出します。こういうゴールの作り方ができれば最高だと思います。

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