お父さん・お母さんに知ってほしい、ヨーロッパのコーチ・保護者が大切にしていること


今回のクロアチア遠征のメイン会場となったドブロヴニクテニスクラブには、ダッドボウル期間中、ヨーロッパ、特に東欧からたくさんの選手とコーチ、保護者の皆さんが集まります。色んなコーチ、保護者と話し合う中で全員共通して大切にしていることがありました。

それは、
選抜と育成のバランスを考えること
です。

選抜(される)

低年齢であっても、良い結果を出す選手は、1つ上のレベルの大会に出ることができたり、スポンサーから遠征補助金が出たりと、チャンスをもらえる可能性が高くなります。こういった選抜システムはすでに構築されていて、そう簡単に仕組みが変わることはありません。それは日本の海外も同じです。

育成(する)

低年齢のテニスはミスが少なく、メンタル的に安定している選手が勝ちやすい傾向にあります。ですが、そういうテニスでは将来的に、14歳・16歳と身体が出来上がって行くと、本質的に良いテニスをしている選手には勝てなくなります。将来を見据えてテニスを作っていくことが育成には大切になります。そして選手達の人生は、テニスが終わった後も続いていきますから、テニス後のことも考えて育成する必要があります。

現状

早熟で低年齢から結果を出す選手がジュニアの間は強くあり続ける傾向になります。それはテニスだけでなく、それ以外の環境も影響するからです。

テニスで成果が出ているジュニア→そのままテニスを続ける→トップクラスに残りやすい
テニスでの成果がトップではない→勉強にも力を入れる→ランキングを保つのが難しくなる

これはテニスだけでなく、他の競技も同じです。テニスではU12が終わる小学5年生や高校受験のタイミングでテニスとの距離を考え直すきっかけになります。他の競技ではもっと早い小学4年生くらいで競技人口が減ってくる競技もあります。

早熟系が有利な今の選抜システム

プロスポーツの世界は、早熟型の選手が選抜されて構成されています。日本のプロ野球やサッカーのJリーグでは、4月〜7月生まれの選手が多いというデータがあります。その学年の中で、早熟の恩恵を受けてチャンスをもらえているからです。他のスポーツでも、早熟の選手が恩恵を受けている現状は多かれ少なかれあると思います。

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今後、AIなどが進歩するとまた違った選抜システムができるかもしれませんが、現状では世界中で同じような選抜方法が取られています。テニスでも10歳でスポンサーがついている選手もいます。一部問題になってルールを改正させられましたが、スペインのサッカーは低年齢からスペインに移住させて育てています。

軸を持つ

選抜システムは変わらないので、各ご家庭の育成論・育成軸を大切にしてほしいです。ヨーロッパの強い選手達もいつも情報を集めて、お子様にとって最良の道を用意できるように努力しています。テニスを通じてどんなことを学びたいのか?という軸を持っていれば、たくさんある選択肢の中で良い選択ができます。小さい大会であっても、考えようによっては、全国大会に繋がるので、ついつい大変なスケジュールになりがちです。

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そして目の前のランキング保守を選択してしまいがちです。何を学ぶか?という軸があれば、選抜されるかどうか?に大きな負担を強いられる必要はありません。ヨーロッパのコーチや保護者の皆さんは、そう言った考えの確固たる軸を持とうとしています。テニスが終わった後の人生の方がその何倍も長いのですから。

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