日本人はちゃんとやる?


日本で指導していて感じるのは、
日本人には『ちゃんとやる』という感覚、
そして『ちゃんとやらないといけない』『ちゃんとやらせないといけない』という感覚が強いことです。

スペインのアカデミーで1年3ヶ月間練習していましたが、
日本のように『ちゃんとやる』という圧力はコーチからはかかりませんでした。

求められるのは、『本気のプレイ』のみです。

『本気のプレイ』を目指せば、おのずと日本でいうところの『ちゃんとした』練習態度になるのですが、
日本の場合、まず外枠から固めていく感じがするのに対して、
スペインでは一番中核である『本気のプレイ』をまずは作ることに注力しているように感じました。
・私語厳禁
・用具の準備もボール拾いも全て全力
・1分も無駄にしない集中力
などをしっかり守る日本のジュニアは、良い練習をしているのに違いはないのですが、
スペインのジュニアや大人の選手が見せていたような『本気のプレイ』を出せているか?と問われると、出せていないような気がします。

毎回の練習で自分のリミッターを壊すような気概でのぞむスペインの選手、
ちょっとしたダブルスのポイントゲームでも喧嘩になるほど勝ち負けに固執する姿は、日本ではあまり見ることができません。

ただスペインのそういうジュニア選手が、日本でいう『ちゃんと』練習をしているかというと、
抜いている時間があったり、うまくいかない時は簡単に練習マッチを諦めて勝負を投げたりします。 
(本番の試合では絶対にそんなことはしませんが・・・)

私は日本流の『ちゃんと』が悪いことであるとは思いません。
ただ、本質的には外側から固めているということになっていると感じます。

やらされているので、やらない子がいるとそれを強要します。
徐々に少しの私語や抜いた態度も許せなくなり、『本気のプレイ』が目的なのか、『ちゃんとやること』が目的なのかわからなくなります。

私語がダメなのではなく、その間に上達するために他の人のプレイを見たり、
集中を維持することができなくなるのがダメなわけで、そうしていると自然と私語は減っていくわけです。

ただ黙れと私語を禁止されると、禁止されない環境では、しなきゃ損とばかりに喋り出します。
そしてコミュニケーションは、コーチと選手や選手同士の仲を円滑に保つために必要不可欠なものです。
まったく会話がないのも良い環境であるとは言えません。

異論は多々あると思いますが、
子供たちが主体性を持って集中状態に入れるようなルール作りが大切だと感じています。

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