時代背景が違うと言葉がすれ違う
物語を書いていると、テニスを指導する上での問題って、指導論だけにあるのではなく、その他の要因にあることがわかります。
ある程度、正解が分かっていてもその伝え方って本当に難しいと感じます。
コーチたちが育ってきたアナログな時代と今のデジタルな時代では、スポーツを頑張る上での背景が全く違うため、同じ言葉を使っても全く子どもたちに響かないという経験をしているコーチや保護者の皆様は多いのではないでしょうか?
実は47歳である私の世代も少し上の50代のコーチの言ってることってちょっと理解できないことがあります。我々は高校の時には、練習中は水を飲んでも良いと言われていましたし、それは社会の通説になっていましたが、我言われよりも5つの上の世代になると、学生時代はずっと、「練習中は水飲むな」が当たり前の世代なんです。同じように努力や忍耐という言葉を使って話をしていても、その意味は若干異なってしまい、気づけば会話がすれ違ってしまっていることがあります。
私たち世代が、ジュニア選手にがんばれと伝えた時に、それを聞いた子どもたちのリアクションに違和感を覚えてしまい、全然頑張ってないやんと思ってしまうのは、ある種当然のことなのです。
いつもそう言い聞かせて気持ちを一旦落ち着かせています、笑
ふと、戦前、日本にテニスが伝わってきた当時ってどういう感じで練習していたのか。当時のテニスのことが知りたくて色々と本を読んでみた時期があります。
有名な清水善造さんや原田武一さん、そして佐藤次郎さん。彼らの時代はどんな練習をしていたのか、また技術はどんな言葉で語られていたのか。
清水善造よりまだ年上の熊谷一弥という人が書いた技術書がネットで読めてなかなか興味深い面もありつつ、テニスってあまり変わっていないのかなとテニスにおける普遍的なゲーム要素もわかったりして良い経験になりました。
ご存知の方も多いと思いますが、当時日本選手は世界ランキングで軒並みトップクラスにいました。グランドスラムで上位進出することもあり、錦織選手が活躍すると、聞いたことがない彼らの名前が出てきたことが記憶に新しいです。
彼らレジェンド中のレジェンドと現代の低年齢から良い指導を受け、しかも最新のラケットで軽々とボールを飛ばす若者が出会ったら面白んじゃないかと思って書いた小説が、「根性嫌いのがむしゃらブルドッグ」という作品です。
自らを削るように努力するレジェンドたちと現代の根性が嫌いな若者たち。お互いがどんな刺激を受け合うか、妄想が膨らみだすと止まらず、カフェで少しずつ書きました。
今となっては、「水を飲むな」ということどころかちょっとしたきつい練習でも非科学的だと言われがちです。
非科学的なことでしかうまくなれないくらいに思っていた約100年前のレジェンドたちは、どんな勝負をしていたのか、とても興味がありますよね。YouTubeに少しだけ動画がありますので興味がある方は調べてみてください。
個人的には遊びが好きで、1日中練習した後でも夜通し遊びに行くという豪放磊落でイケメンの原田武一さんのテニスが見てみたいなぁと思いました。
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