世界に溶け込もう!
先日、テレビ東京の『カンブリア宮殿』の中で、味の素の社長である伊藤雅俊が出ていました。伊藤社長は番組の中で、アフリカに対する今後の貢献を以下のように言っていました。
『アフリカではコーンが主食。コーンが主食の民族はアミノ酸の一種であるリジンの摂取量がすくない。アミノ酸は少ないものの基準値しか吸収できないようになっているので、他のアミノ酸は排泄されていまう。したがって、リジンを上げることにより、全体のアミノ酸の吸収を上げることができる。この活動をガーナで検討している。』
要するに、ガーナでリジンというアミノ酸の一種を『味の素』で摂取することにより、アミノ酸自体の吸収力をあげようという挑戦をしていくということです。
アフリカで『味の素』を売るだけでなく、その国の人間の健康状態もよくしていくという志しが感じられます。優秀な日本企業はどんどん海外で活躍してほしいです。
テニスの話に入る前にもう一つ。矢澤豊さんのコラムにこういう話がありました。以下に要約します。
もう『民族国家』は崩壊しつつあるので、明治維新は起こらない。坂本龍馬は、「わしは土佐だけの事を考えるゆうがは出来んのです。」と言ったけど今の時代は「わしは日本だけの事を考えるゆうがは出来んのです。」と言わなければならない。
この二つの話を聞いたでけでも、世界がどのように動いているのかよくわかります。もう日本だけの事を考えていけはいけないのです。この考えからすると、日本のテニス界のことだけを考えていてはいけない、ということになります。どうすれば、日本のテニスは世界に通用するのか?という考え方では世界の流れについていけない。一人のテニス人として、いかにして世界に貢献していくのか?を考えなくてはなりません。
私が留学していたバルセロナのテニスクラブでは、外国人テニスコーチがたくさんいました。主に、チリやブラジルなどの南米系のコーチが多かったです。あきらかに出稼ぎでした。これから日本国内での需要が少なくなれば、我々も出稼ぎにでるのでしょうか?海外でのコーチ活動などを経験すると、国内でのコーチ活動に興味がなくなるのではという不安もあります。日本では、大変複雑なチャレンジを強いられていると思うのです。学歴社会との兼ね合いがある為にテニスに集中できない。小さい頃からテニス一本のプレイヤーが多く、様々な競技からテニスを選択するということができない。これらは、すべて忙しすぎる毎日に影響されるものです。
先週のメールの最後を『たぶん』としめくくりました。黙って正しいと思う指導をし続けていれば、いつか認められる、たぶん。。。その理由は、もう我慢や根性は評価されないような気がしたからです。複雑化しすぎた教育分野で孤軍奮闘することは、『世界』という器で物事を見た時にどう映るでしょう?僕の友人に、テニスのあまり普及していないモンゴルに渡り、コーチとしてナショナルチームを支えた男がいます。矢澤豊さんのコラムにあった、『わしは日本だけの事を考えるゆうがは出来んのです。』という考えそのもののような気がします。
今日はとことん悲観的に考えてみようと思います。今、本当に民族国家がなくなりつつある中で、このままの『日本人を世界に通用させる』といった考え方を持っていていいのでしょうか?愛国心は必要だと思いますが、日本のコーチの仕事ぶりは、海外ではどのように評価されているのでしょうか?
日本のテニス界での存在理由より、世界のテニス界での存在理由を意識して仕事をした方が、子供達にとって良い指導ができるような気がします。私などは、存在がさらにちっぽけなもの感じられ、自信を全く持てません。ただ真実から目を背けることもしたくありません。日本国内のテニスクラブならどこに行っても、自信を持って仕事ができるかもしれません。ただ、一歩海外に出てみればどうでしょう?何か通用するものはあるでしょうか?コーチが通用しないのに、選手が通用するとは思えません。コーチが通用しようとしないのに、選手がチャレンジするでしょうか?
子供達の可能性や才能を閉じ込めてはいけないと思うのです。このままガラパコス化していってはいけない。小児科医の先生はよく言います。『子供は精神的に強いんだけど、大人は弱い。大人が心配しすぎて、子供の可能性を潰してしまう。』地区大会のベスト8や16の違いに目を向けているよりも、世界の中での自分達のテニスの位置をしっかりと知った方が、子供達はパワーがみなぎると思います。
『子供は社会の鏡』とよく言われます。ベスト8や16にこだわっているのは、『社会』なのです。
「わしは日本だけの事を考えるゆうがは出来んのです。」と言える『社会』になれば、子供達のテニスも変わるはず!指導者は大きな発想の転換をしていかなければならないのかもしれません。
『世界に通用する日本人』を輩出する為に、『日本だけの事を考えてはいけない』のかもしれません。
『日本だけの事を考えてはいけない』というのは、世界のテニスを研究するということではなく、まずは世界の中に溶け込むということです。その為には『社会』が変わる必要があり、我々指導者が変わる必要があります。
世界に溶け込もう!
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