自由
このブログを読んでいる方の中には、僕のことを『自由奨励主義者』とか『放任主義者』とか思ってはる方がいるみたい。はっきり言っておくけど、真逆です。テニスを上達して活躍したいプレイヤーに『自由』など存在しないと思う。自分が戦っているステージに必要な要素をとにかくなんとかして身につけていくしか道はないのです。
ものすごく大まかに説明すると、小学生では自らミスをしていてはいけない。中学生では、ミスしないだけでは駄目で、ミスをさせることを覚えなければならない。高校生では、自分から決めることができないといけない。JOP大会で勝つには、フューチャーズで勝つには。。。それぞれのステージで勝つ為に必要な要素をなんとかして身につけないと勝つことはできない。ただ、ボールを打っているだけで、『あとは自由に思い通りにやろう』だけでは勝てるようにはなりません。
そう考えると、ある意味でテニスの練習というのはものすごくつまらない作業なのです。『自由』とか『個性』とかいう言葉は厳しくつまらない練習から逃げる為に使っていい言葉では決してありません。『個性』とは、自分の先天的なものをなんとかして勝負に生かしていく過程で誕生するものだと思います。先天的なものがないプレイヤーは地味なプレイスタイルでも勝つことを選ぶ必要があります。しかし、たとえ地味なスタイルでも勝利の為に全てを捧げる努力を続ければそれは他人の目を引く『個性』へとつながると思います。一生懸命ボールを相手コートに返そうとするマイケル・チャンには皆さん感動したと思います(ちょっと古いか。。笑)
さてではテニスにおける『自由』とはなんなのでしょう?それは、夢、目標を高く持つことです。各ステージで勝つために必要なことを身につけていけばいいので、可能性は全員にあります。では、前回のブログで書いたようになぜ大学生のテニスが希望がないように見えるのか?次のステージに上がる為に必要なことがわかっていないからです。そもそも次のステージがなんなのか見えていないからかもしれません。
僕が小学生にプレイスタイルや勝ち方を教えたくない理由を書きます。それは、『自由』にやらせたいからではありません。プレイヤーの夢を摘まないようにしたいからです。今の学校教育などを見ていると、子供達はとてもガチガチに固めた強くなる為だけの練習に耐えられるとは思いません。(わかりやすい表現を使うとスパルタでしょうか。)これも前回のブログで書いたように学歴社会とテニス界は共存しています。テニスを大切にしたいなら、学校教育を無視はできません。社会通念上、学校教育が体罰禁止などで厳しくできない以上、テニスクラブがそれを無視しても効果はありません。学校教育もテニスの指導も『生き物』です。時代によって日々変化しています。変化に対応することが必要だと思います。
小学生の大会をあまり奨励しないのも、夢を摘まないようにしたいからです。思春期前の子供達はある意味でものすごくもろい。逃げ場をうまく自分で作れない為に、負けたことをダイレクトに受け止めてしまいます。また勝ったことも同様にダイレクトに受け止めます。最初の方に書きましたが、小学生ではミスしなければ勝ちます。その結果をダイレクトに受け止めることは勝った側にも負けた側にもあまり意味がないことのように思えます。
僕は小学校低学年の時、絵がものすごく下手でした。しかしなぜか、35歳を目の前にして絵でも書いてみようかなと思えるようになってきました。何が言いたいかと言うと、小学生で感じたコンプレックスを気にしなくなるくらいある種の『心の逃げ場作り』ができるようになるには35歳という年齢が必要なのです。テニスは各ステージで必要なことを努力して身につければ勝てるようになります。おそらく絵もそこそこ練習すれば、うまくなれます。しかし、『逃げ場』を知らない時期のテニスには危険がつきまとうと思います。だから僕は遊び感覚でいいと言うのです。色んな技術を詰め込みすぎてはいけないと言うのです。
テニスにおける各ステージで勝つ為に必要なことを身につける地道な作業には『夢』が不可欠です。もう少しこうすればよくなるのではないか。という希望が持てなくなるとゲームセットです。そのように考えられるということはある種の『逃げ場』を知っているということです。
小学生から始めて大学生まで続ければ、全員インカレに出場できるくらいの実力は持てると思います。続けることが重要です。でもそれが難しい。なぜならば、『不自由』だからです。テニスは好きなことだから『自由』なんだという考えは、テニスが趣味の方に当てはまります。プレイヤーは『不自由』のしばりの中で『自由』な発想をめぐらせて、『夢』を持ち続けることが大切です。発想が『自由』であれば、『夢』も『目標』も無限大だと思います。
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