『脱社会』と『夢』をみることの難しさ。。。
日曜日は遠吠えブログだ!
木曜日に紹介した本『 友だち地獄』 の中で、興味深い言葉に出会ってしまった。『反社会』『非社会』そして『脱社会』の3つです。『反社会』とはある規範の存在を認めた上で、それに逆らうような態度をとること。例えるなら、校内暴力、学校でタバコを吸う、といった行動。『非社会』とは規範の存在から逃れるような態度をとること。例えるならシンナーを吸う。そして近年現れ出したのが『脱社会』という存在。本には、既存の秩序観や価値観に全く頓着しない行為とある。例えるなら、売春行為。例にあげられているのが犯罪行為なので、何か物々しく感じますよね。
我々の子供時代には、何をするにも『基準』があり、それを守るか守らないかが重要でした。テニスの練習に例えるなら、練習はしんどくて、理不尽で当たり前。先生やコーチは反抗してはならない存在であり、加えて先生やコーチと親とは味方同士であり、親には『先生の言うことをしっかり聞きなさい』と言われていたものです。それに対する『反社会』的な行為としては、先生に反抗して練習中に帰る 。(あんまりいないか。。。)『非社会』的な行為としては、仮病使って練習さぼって遊びに行く。水分補給は許されていないのに、トイレにいくふりしてウォータークーラーでがぶがぶ飲む。校舎の外側を何周もさせられるランニングでは、先生が見えなくなったら、校舎の中をショートカット(近道)する。いかん!いくらでもでてくる、笑!
今日考えたいのは『脱社会』というキーワードです。要するに、守らなくてはならない基準がない。テニスの練習に例えると、『しごき』『根性』といった風潮は根絶された。でも次なる『基準』がない。だから練習はただしんどいだけでは駄目。理不尽なんてもってのほか。そして、先生やコーチは生徒に評価されてしまう一面を持ってしまい、親はいつも先生やコーチを査定していて味方同士になりえない。。。
これを読むとほとんどのテニスクラブやコーチは、『いやいや、それでもうちはしんどい練習を行い、プレイヤーには評価されているなんて思わずに毅然とした態度で仕事をしている』というでしょう。もちろんです。僕もそうです。僕が言いたいのは、これは社会的風潮であり、僕達が行うすべての行為はその風潮内で行われているということです。
繰り返しますが、我々の子供時代には、良くも悪くも『基準』が存在していました。『基準』があると夢も見やすい。みんなが受験戦争で勝ち残り、大企業に入ることを目標に生きていました。僕のように『反社会』的な(といってしまえば格好いいけど、単なる落ちこぼれ、笑)奴は『そんなレールには乗らずに俺は自分の好きなことを仕事にして生きていくんだ!』なんて都合の良いこといって生きてるわけです。笑。
いつからか、個性が大切とかいって『基準』が曖昧になってきて、今は全くなくなっている。。。これって『夢』をみるのにものすごく困難な状況だと思うんです。。。『育成』のお仕事をされている方ならわかると思いますが、今子供達に『夢』を見せるのは結構大変です。基準がないからです。理想論では、『一人一人違った夢をみることができる』とか言うんだろうけど、それって自分勝手に生きるだけですよね。『夢』は相対的な存在であると思います。必ず何かと比べて、その上で持つのが『夢』だと思うのです。なんにも社会的な圧力や影響なしに見る『夢』なんてあるのかなぁ?テニスが好きだから、テニスのプロになるのが『夢』とはいっても、そんなもんもって2、3年。。。思ったように戦績が上がらなかったり、勉強との兼ね合わせがあったりすると、あっさり消え去ってしまう。『夢』は育成されずに『査定』されて可能性なしとあっさり判断されて消えてしまう。
どうすれば、テニスに見いだした『夢』を維持することができるんだろう?たぶん『基準』を再構築するしかないんです。日本全体では一度壊れたものを、足並み揃えて再構築するのは無理だと思う。でも可能な限り広い範囲で『基準』を再構築した方が、その影響力も長続きすると思う。どこかカリスマ的な『基準』をひっさげたテニスクラブが現れないかな。その再構築作業は大人にとっても大きな『夢』となるでしょう。子供は社会の鏡。大人が、社会が『夢』をみれば子供達はついてきます。そうした『基準』を再構築したテニスクラブが誕生すれば、みんな真似して、様々な『基準』を持つテニスクラブができる。その違った種類の『基準』で育った『夢』同士の戦いをテニスでやって欲しいなぁ。。。
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