伸びる時期にどれだけ伸ばせるか?
テニスの成果は、練習量に比例して忠実に上がっていくものではないことを、長い指導の中で感じています。選手の進歩は階段のように、一段一段確実に上がっていくものではなく、停滞期があった後に、突然大きく成果が出ることも珍しくありません。
特にジュニアの選手たちの中には、数回の大きな躍進の機会があると感じています。私が最も重視しているのは、「その伸びる時期に、選手がどれだけの階段を駆け上がれるか?」という点です。高いレベルのテニスとの触れ合い、そしてその高みを追求する姿勢が、伸びる時期の躍進の幅を広げる鍵となると信じています。
だからと言って、コーチとしては簡単な道のりではありません。目の前の試合での勝利を追い求めることや、選手の一つの敗北に心を痛めることも確かにあります。その結果、必要のないアドバイスや効果の薄い練習を導入してしまうことも。
質の高いテニスを目指すことは、目の前の試合を勝つことから逆算すると、遠回りをすることであり、不要な経験もたくさんしなければなりません。
ですがそこで積み重ねた短期的に見れば無駄とも言える経験や練習の積み重ねが、その選手の伸び代を大きくします。それは慰め的に使う時の伸び代ではなく、テニスに必要な能力を身につけるための遠回りする道をあえて選んだ証です。
その遠回りが、選手の実力を高める証となるのです。多角的な戦術や基本技術をじっくりと習得した選手は、試合の場面でその価値を存分に発揮します。伸びる時期にどれだけ一気に階段を駆け上がれるか?
できるだけ高い位置に導けるコーを目指します。
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