もっと力を抜いて!
「もっと力を抜いて!」
テニスアドバイスではよく聞くワードではないでしょうか?
これ、とっても取り扱いが難しいアドバイスですよね。
力を抜けと言われて、力を抜き、ボールは伸びるわ、コントロールもよくなるわと激変するなら天才です。
・力を抜くとボールのスピードor回転が落ちる
・コントロールが悪くなる
ケースがほとんどです。ちょっとインパクト前後の手首の可動がよくなって初速が少しだけ上がるかなと言った程度になるのが関の山です。
力が入り過ぎて見える人は、どこに力を入れたらいいのか、そしてどこの力を抜くべきなのかがわかっていません。
こればっかりは口で伝えるのは難しく、ゴムチューブなどを使って刺激を入れるようにも、そもそものその人が持つ『力みの感覚』に密接に関係するので、一様に上達させるのはとても難しいです。
ジュニア選手でもあまりに極端な選手には言うことがありますが、そうでなければ、その選手の特性を探しながら少しずつ落とし所を探していくのがいいかと思います。
胸郭回りと股関節周りはモビリティな部分で、ある程度リラックスさせて可動域を担保する必要があり、お腹周りはスタビリティな部分でしっかりと固める必要があると言われます。
ですがそんなことを口で言われてもそれは身体感覚で覚えていくものであり、知らなかった英単語を暗記するようにすぐできることではありません。
グリップを握る力も、しっくり来る感覚は人それぞれです。ですが、あまりにも力が抜け過ぎているグラグラの状態のまま打つ人は少ないと思います。
みんなある程度は握っています。
「力を抜いておいて、インパクトの瞬間だけ握る」という表現がありますが、初心者にわかりやすく握り過ぎを伝えるための言葉で、中級者以上の人にはちょっと言葉が足りない表現だと思います。インパクトの瞬間だけ握ったらスイング止まってしまいますよね。
『必要な部分の力みは残し、不要な部分は削っていく』
テニスに必要なリラックスはこれです。
そしてそれは技術レベル、フィジカルレベルにも左右されます。
相手のボールの勢いを利用するのが得意な選手とそうでない選手では力み具合が変わって当然です。
体幹の力が強くなると全体的にリラックスしてもスイングがブレなくなり、力を抜きやすくなります。
『必要な部分の力みは残し、不要な部分は削っていく』
のは石の塊から彫刻を掘り進めるような作業で時間をかけじっくりと行う必要があります。
プロ選手はリラックスして軽々とラケットを振っているようで、大の大人が思い切り力んでフルスイングするくらいのスピードで振っています。
身体の連動が良いのはもちろんですが、筋力も強く、高い出力を生み出せる下半身とそれでも上半身がブレない強い体幹が備わっているからできることです。
安易に力を抜けというくらいなら、もっと力を入れよう!と言った方が、その選手の出力の出どころや悪い力みが露呈するので観察には良かったり、
まずは不要な部分も込みで出力を増やし、少しずつ無駄を省いていって良い力み具合に落ち着けるために効果的だったりします。
僕の小説に出てくるハルト君という『ぺしゃん』『ずるずる』の主人公の一人は、とにかく力みまくってボールが飛ばない選手です。
まだ出ていない最新作では少しだけ力を抜くコツをつかめるのですが、とにかく不器用で走って打って返すことしかできない男の子です。
将来どんな選手に成長するか、どんな風に脱力を学んでいくのか、書きながら楽しみにしています。
注目記事
- ヨーロッパのコーチが選手の素質を見抜く時にまず注目するところ
- オレンジボールやグリーンボールはいつまで?
- 世界中、強くなるジュニアが、テニスの練習でやっていること
- ジュニアテニスで一気に伸びるために必要な行動
- 外人って何食ってるからあんなにデカくなるんだろう?海外のジュニア選手の食事。
- ジュニアと親を苦しめるポイントシステムを解説!! ジュニアランキングを上げるための複数年計画の年間スケジュールとは。