サンチェス・カサルアカデミー 本場のクレーコート
現在8名のジュニアと1名のコーチの引率でスペイン、バルセロナにあるサンチェス・カサルアカデミーを訪れています。私自身が14年前に1年3ヶ月滞在し選手として修行を積んだ場所でもあります。昨日の練習量に続いて、今日はヨーロッパにしかない本場クレーコートのお話です。ヨーロッパのテニス環境の特徴はクレーコートの存在です。世界中で競技テニスで使われている、サーフェイスと呼ばれるテニスコートの表面の種類には、ハードコート・オムニコート・ローン(芝生)コート・クレーコートと呼ばれる4種類があります。(他にインドアカーペットコートなど例外あり)
球足が遅い
ヨーロッパのクレーコートはアンツーカーコートとも呼ばれる、レンガの粉でできたものです。日本にもクレーコートは存在しますが、土の色は赤くありません、ヨーロッパのクレーコートとは素材が異なります。ヨーロッパのアンツーカーコートは、土の層が厚く適度に水分を含んでいるため、バウンド後のボールスピードが遅くなります。対して日本のクレーコートは表面が硬く、バウンド後のボールスピードはヨーロッパのコートと比べると遅くなりません。このボールスピードが多くなるサーフェイスのことを『球足が遅い』と表現します。
球足が遅いとなぜいいのか? ①1発で決まらないので組み立てを覚える
球足が遅いと強く打つだけではショットが決まりません。球足が速いハードコートなら決まりそうなボールでも地面に勢いを吸収されるので相手に取られてしまいます。1発で決まらないので、相手を追い出してボレーで決めるなどの組み立てを覚えることが、ポイントを取るために必要になります。
球足が遅いとなぜいいのか? ②強く打つとボールが重くなる
ボールのスピードが地面に吸収されるのがクレーコートの特徴です。スピードは吸収されますが、強く打つことによって生まれる回転は、強い回転であればあるほどバウンド後のボールの勢いに影響します。ボールを強く打つことで好影響が出るので、自然とボールを強くしっかりと打つ癖がつきます。このバウンド後の勢いがあるボールを『重いボール』と表現します。対照的にオムニコートでは、強く打っても弱く打ってもバウンド後のボールの勢いに大差がなくなります。強く打っても打たなくても効果が同じであれば、選手達は自然と打たなくなって生きます。
どちらも低年齢の頃から開発しておきたい能力です。この2つの能力は、クレーコートのみならず全てのサーフェイスで必要になる能力です。現在は、クレーコートで強い選手は、他のあらゆるサーフェイスでも強いと言われるようになりました。現在、ジュニア選手8名と共に日々本場のクレーコートで過ごしてますが、上記の①と②共に早くも選手達は必要性を感じ始めています。
①相手を動かすことで、ポイントにつながることを体感できる。
②ヨーロパの選手のボールの重さを感じることでその必要性を感じる
言葉で100回言うよりも価値のある体験ができています。
育成年代において、本場のクレーコートでの経験はとても重要かつ必要だと感じます。
現地での練習の様子は、フェイスブックでライブ配信、そしてInstagramでも配信しています。
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