「あんまり、さきさき言うなよー」 BY MY おやじ
前回のブログの中で、我々の子供時代は量的な『詰め込み教育』だったが、今は量的にも質的にも『詰め込み教育』であると述べた。インターネットの普及によって情報が大量に集まる為に、様々な練習方法やカリキュラムが簡単に手に入るようになった。ただ思うのは、練習方法は手に入れても、それを行使するのはコーチなのです。行使する人間によって同じ練習でも、雰囲気や疲労度、理解度などは異なります。そして、その指導を受けるプレイヤーによっても異なります。
近年は、小学生の大会が盛んに行われています。練習の負荷や教える内容はどの指導者も手探りなのではないでしょうか?なぜなら、小学高学年の試合が頻繁に行われ、結果を求め出したのはここ数年に始まったことだからです。体に負担はかかりすぎていないでしょうか?技術はどのように伝えているのでしょうか?
我々の時代であれば、量的な『詰め込み教育』であった為に、いわゆる『しごき』と呼ばれる振り回しや、炎天下の球拾い程度でした。ただ今は、質的にも『詰め込み教育』です。大人が打つような打ち方を指導していいのでしょうか?何もアドバイスしなければ、自分の肉体にあった打ち方をするでしょう。でもそれでは、仕事したことにならないと言って、強引な体の使い方を押し付けていないでしょうか?仕事をしていないよいうのは、教えていないという意味です。
ただの『しごき』ならば、サボり方を学べば乗り切れます。質的にも詰め込まれ、サボり用がない状況ならどうなるでしょう?テクニックとは、人間としての成長とともに身につけていくものだと思います。この場合の成長は肉体的にも精神的にもです。
題名になっている『さきさき言うなよ~』は、私が小学生の頃に、父親が母親に向かってよく言っていた言葉です。そこそこ教育ママだったウチの母親は、勉強でも生活面でもすぐ口出ししてきました。母親ゆえの愛情であったのでしょう。とくに勉強では、先に問題の解き方を言って、なんでこんなのもできないのと言わんばかりでした。
その母親に対していつも、遠くの方からやる気なさそうな、興味なさそうな声で『さきさき言うなよ~』と言っている父親がいました。『本人に考えさせなさい』という意味でしょう。みなさんは、お腹が減っている子がいたら、魚をあげますか?それとも魚の釣り方を教えてあげますか?母親はまさしく、問題の答えである魚を僕に与えてくれていたのです。そして、父親は魚の取り方を教えようとしてくれていたのです。勉強を教える時は見守る程度でいい。とにかく、30分でも1時間でも自分で考えさせることが大切だと、父親は言っていました。じっくり考えて、自分の力で答えを出すことができた喜びを知れば、おのずと勉強するようになると。先先、教えてあげるとその場は救われるが、人間としては成長しないでしょう。
最近の塾では小学生や中学生に対して、点数を取るテクニックを教えます。その事に関しては賛成です。テストの点はテクニックで稼げばいいと思います。ただ、勉強に対してやる気がない子供をお客様扱いし、やる気を出させるというのはいかがなものか?と思ってしまいます。大学や高校にとって子供達は言わば、お客様です。しかし、サービス業のごとく、子供達を扱うのはいかがなものかと思ってしまいます。やる気のない子供達に、やる気がでるようにもっていって、成績をあげる。子供達自身は、主体的に何もしてない。大学卒業まで、何となくお客様気分で過ごしてしまう。その後、社会に出た瞬間に、立場は逆転します。その変化に対応できないことは、目に見えているように思います。
テニスでも同じことが言えると思います。先先言えば、その場は救われいい結果がでるかもしれない。プレイヤーが自分に足りないテクニックを自分自身で気づくような環境をつくることが大切であって、求めていないのにどんどん伝えていくのでは成長できない。
大会も含め、世間の風潮が彼らに求めることが3年ほど先を行っているように思えます。彼らはまだ思春期も迎
えていないのです。まだテニス=遊びで十分な時期なのではないでしょうか?
戦場カメラマンの渡部陽一さんの言葉です。
『どの国でも未来をつくるのは子供達』
『戦場で真っ先に犠牲になるのは子供達』
経済が冷え込んできたいることで、子供達の未来を犠牲にしていないでしょうか?我々の子供時代は『失われた20年』が始まる前で、学歴至上主義であり、18歳で人生が決まると言われていました。偏差値の高い大学にさえ入れば、人生安泰と大人達は誰も疑っていませんでした。しかし、そんな未来は訪れませんでした。我々が想像するような未来は訪れず、未来は子供達が作っていきます。子供達を、経済戦争の犠牲にしては、我々の未来を犠牲にしていることになります。
みなさんはどうお考えですか?ウチの親父に聞いてみようかな。『さきさき言わんと、ほっといたらええねん。』答えは聞かなくてもわかるけど。。。
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