生き方の多様性に触れたテニス少年のお話。
ロサンゼルス在住の日本人男子中学生のお話
とあるロサンゼルスのテニスクラブでのお話。日々テニスと勉強に追われる一人の中学生がいました。文武両道が当たり前のアメリカ社会での学生生活はとても忙しい。放課後は勉強しないといけないので、テニスの練習は毎朝学校に行く前にしてました。
彼が練習しているテニスクラブには朝5時から営業しているジムが併設されています。ジムのランニングマシンコーナーには大型テレビが設置されていて、毎朝モニターには株価の指標が報道されていました。ビジネスマン達は、汗を流しながら株価をチェック、シャワーを浴びて仕事に向かう日々を送っています。
気になる中年男性
その中に気になる一人の中年男性がいました。毎朝、株価のチェック後に株売買の指示を電話で出しているのですが、その後、他のビジネスマンのように出勤する様子はなくのんびりと過ごしています。少年は、彼のことを投資家として成功したお金持ちだ、と思っていました。日々忙しい自分やビジネスマン達と違ってのんびりしていて、羨ましく思っていました。
気になるその正体は?
ある日、少年が練習中にトイレに行った時のこと、その男性がクラブ内で犬の写真を掲示しようとしていました。捨て犬の里親探し、ドッグレスキューです。少年は練習中だったことも忘れてついついその男性と立ち話で話し込んでしまいます。ドッグレスキューとは、様々な事情で飼えなくなった犬、飼育放棄、虐待などから犬を保護して新しい里親を探してあげる仕事です。
なんでもその男性はドッグレスキューの仕事が一番やりたい仕事だそうです。でもそれだけでは生計が立てられないし、ドッグレスキューの仕事もできません。ドッグレスキューの仕事のために、投資家の仕事でお金を作り、自分で自分のスポンサーになっているそうです。
強い感銘を受けた少年
少年はその生き方に強い感銘を受けました。ビジネスマンとして働く選択肢以外にこのような働き方があることに気がつきました。朝一番で投資家として利益を確保し、その後は捨て犬・野良犬の保護や里親探しの仕事しています。お金持ちになって、そしてどうしたいのかが大切であることに気がつきました。日本ではなかなか出会うことができないこのような人。多様性を認める社会、多様性に触れられる社会がここカリフォルニアにはあります。
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