ヨーロッパジュニアのチャレンジに学ぶ、戦い方の切り替え方。
スタイルは一つだけど、戦い方は1つではない。
テニス選手はそれぞれがスタイルを持っています。でもスタイルと戦い方は全然違います。
『自分は足が速くてカウンターが得意だからそれを生かしたテニスをしよう』
これは自分のスタイルを確立していく時の考え方。対して戦い方とは、
『相手はバックが弱そうだからバックにボールを集めよう。』
『相手は強気でバンバン打ってくるから、ここはあえて緩いボールを使って打たせてミスをさせよう。』
『相手はコートの中に入ってプレッシャーをかけてこようとしているから、そうさせないように先にこちらからコートの中に入っていこう。』
などなど、その時の状況によって作戦を練るようなことです。私がテニスを始めた頃に大好きで見ていたこの選手は、戦い方のバリエーションが本当に多い選手でした。
錦織選手のコーチとしても有名なマイケル・チャンです。サーブ&ボレーもするし、ムーンボールでただ粘るだけのこともある。回り込んでフォアで攻める時間帯もあれば、バックハンドをスライスで間を作ることもある。とても多彩な戦い方を持っている選手でした。
難しいのは試合の途中で戦い方を変えること
パターン練習を繰り返せば、戦い方のバリエーションは増えます。でも実際に難しいのは、試合中にその作戦を取捨選択し、実行に移すことです。こればっかりは経験が必要になります。
①変えることで自分が崩れてしまう
②変える勇気が出ない
③変えるタイミングが遅い
などの問題点が出やすいです。これらの失敗体験を繰り返しながら試合中に変えることに慣れていく必要があります。
だから3セットマッチ練習会をやっていた
前職の江坂TC時代には、3セットマッチ練習会を企画して毎週日曜日に行っていました。1セットではなかなか戦い方に対する重要性や戦い方を変えるきっかけみたいなものが掴みにくい。3セットマッチを経験することで、そのあたりの感覚を学んでもらうことが狙いでした。
プレイ+ステイの頃から、作戦という考え方とそれを変える楽しさ、を学ぼう!
プレイ+ステイを行う低年齢キッズ達も、『作戦を考えていろんな作戦を使っていこう!』というと、楽しそうにトライします。見ているとついつい大人の発想で声をかけたくなりますが、まずは、試合中に作戦を考える・実行するというプロセスを学ぶことが大切ですから、我慢して見守っていました。今のキッズ達はプレイ+ステイのおかげで低年齢から良い経験ができますね。
例え負けても色んなバリエーションを試合中に自分の頭で選択して実行する経験を!
先ほども書きましたが、難しいのは戦い方を変えること。そして勝利という結果につなげることです。それには経験しかありません。例え負けても、自分の頭で考えて成功体験・失敗体験を積み重ねたいですね。今は負けていてもトライしている選手には輝くものを感じるもの。ヨーロッパのジュニアのテニスには、何かしてやろうというメッセージ性を感じます。
注目記事
- ヨーロッパのコーチが選手の素質を見抜く時にまず注目するところ
- オレンジボールやグリーンボールはいつまで?
- ジュニアテニスで一気に伸びるために必要な行動
- ジュニアと親を苦しめるポイントシステムを解説!! ジュニアランキングを上げるための複数年計画の年間スケジュールとは。
- 世界中、強くなるジュニアが、テニスの練習でやっていること
- お子様に『お前は足が遅いなぁ〜』とついつい言いたくなる時に参考にしたいオーストラリアンオープンテニスのスピードデータの読み方