必要条件と十分条件
その昔、
数学で必要条件と十分条件というのを習った気がする。
気がする程度の記憶しかないけど。。。笑。
例えば、クーラーをいれることは、
部屋を涼しくすることの必要条件ではあるが、十分条件ではない。
といった使い方をしたはず。。
部屋を涼しくする為にはクーラーをいれることは必要だが、
それだけでは十分ではないという意味。
他にも、窓を閉めたり、直射日光を避けるためカーテンをしめたり、
扇風機をまわしたりと条件はたくさんある。
そういった条件を
いくつか集めると部屋を涼しくするための十分条件になる。
そんな感じで
この「必要条件」と「十分条件」といった言葉をつかったはずだ。。。
さてさて、プレイヤーを育成していく時、
この必要条件と十分条件のことが、よくよく頭をよぎる。
実際に頭のなかで
上に書いたクーラーの例のように小難しく考えることはないけど。。
例えば、フォアハンドストロークが安定しない13歳のプレイヤーがいるとする。
グリップの握りが少し薄いために、
スピンがどうしも横回転になってしまってボールの軌道が安定しない。
コーチして少しグリップを厚くしてはどうかと考える。
今はイースタンで握っている選手は少なく、
セミウエスタンより厚い選手がほとんどだ。
その方がスピンもかかりやすく、
安定した軌道でボールはコートにおさまる。
ここで色々な考えが頭をめぐる。
小学低学年から彼のことを知っているが、
フォアハントストロークのグリップに対して指導をしたことはない。
本能的に彼の力の入りやすいグリップで握っているはず。
無理に変えて、
本来の彼の体の構造にあってない握りにならないか?
球足の比較的速いハードコートで育っている彼には、
厚いグリップは必要なかった。
それならば、
球足の遅いクレーやオムニで練習して自然にグリップを厚くすることが理想的で
無理やり変えることはかえって遠回りにならないか?
他にもくどくどとたくさん。。。笑
そこで必要条件と十分条件という言葉を持ち出して考えると
シンプルにまとまる。
めちゃくちゃ単純化してわかりやすく言うと
グリップを厚くすることは、ストロークを安定させる、
またより良いストロークにするための十分条件ではない。
ということです。
フェデラーとナダルは違うグリップの握り方ですよね。
フォアをイースタンで握っている強いプレイヤーもたくさんいます。
もっと言えば、フォアが苦手でも強いプレイヤーはたくさんいます。
彼のフォアをいいフォアにするには、打点を安定させるフットワーク、
それを持続できる体力などの必要条件があるはず。
短絡的にグリップが厚くなれば。。。。という考えだけでは、
本当にいいフォアハンドにすることは難しいでしょう。
『木を見て森を見ず』ということになりがちです。
1年3カ月のバルセロナのテニス留学経験で学んだことの一つなのですが、
バルセロナのコーチは世界に通用する為の十分条件をよく理解していて、
またプレイヤーがその十分条件を
満たすことだけを考えて指導しているということです。
グリップなどアドバイスされたこともないし、
当時僕のグリップはセミウエスタンより少し薄めのグリップだったので
「もう少し厚くした方がいいかな?」
と質問しても、
「どっちでもいいよ。」
との返事。
「なんや!無関心やなーーー。ぶー。ぶー。」
と当時は思ってましたが、そんなことは十分条件ではなかったんですねー。
バルセロナで日々汗を流すまわりのプレイヤーを見ても、
グリップに握り方は全員違う。
クレーコートなのに、すごく薄いグリップの選手もいる。
そしてめちゃくちゃいいストロークをぶちかましている。
前述のフォアのグリップが薄い彼のことは、もう少し見守りたいと思う。
コーチがアドバイスするとプレイヤーはそこに救いを求めてしまう。
グリップさえ厚くすれば、俺は勝てる!と思いこんでしまう。
でもそれが単なる必要条件である以上、
彼に試合に勝つという結果がついてくることはないだろう。
それがわかっていながら、自分自身の安心の為に、
彼にアドバイスすることはできない。。
アドバイスするとコーチは仕事した気分になって、
安心するからねーーー。笑。
そんなアドバイスをしてしまった夜のビールは、、、、まずい。
いいプレイヤーになる十分条件のみを追いかけて、ぶれることがない、
そんなコーチになりたい、ならねば。。。
いや、なるしかない!!
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