信念
テニスコーチとして仕事をしている方、そして何か職人のプロとして仕事をしている方は、必ず『信念』というものを持っていると思います。『信念』とは正しいと信じる自分の考えのことです。Wikipediaで調べると、『ある個人がある命題ないしは前提が真であると 信じること、もしくは信じられる内容のことである。』とあります。
みなさんは信念のある職人は好きですか?もちろん好きですよね!なんかかっこいいし、真摯な態度で日々仕事に取り組んできた過程において、その『信念』を作り上げてきたという感じが、信頼につながりますよね!
ではこういう質問はどうでしょう?『信念』がある職人は怖くないですか?僕は正直とても怖いです。強い信念を感じる職人さんほど怖いです。そういう時代になってしまった気がします。
原因はニーズの多様化です。なぜニーズが多様化していったのか?それはもともと人それぞれのニーズというものはその人の数と同じだけ存在していたんだけど、表面化していなかっただけだから。ニーズが急に多様化したのではなく、経済状況によって表面化してきただけなんです。
僕の恐れとは、ある過程を経て培われてきた『信念』がその多様性に合わせられるようになっているのかどうかということです。20年前のテニスの指導、家の立て方、外科の手術。どれをとっても『信念』それ自体が変化してないといけないと思います。しかし。『信念』そのものは、ゆるがない存在であることが求められます。この変化とゆるがないことの日本の柱に支えられた『信念』でないと僕は信用できません。
変化は日々の自己否定によって培われると思ってます。ゆるぎなさは、日々考え続けることで培われると思います。脳が思考停止してしまっては、僕自身が恐れている『信念』が生まれてしまいます。ごちゃごちゃ考えずに指導に集中すれば。。。なんてアドバイスを受けることもありますが、今の僕自身には必要だと思っています。
わかっていることは、『信念』は危険だということです。『信念』がジュニアプレイヤーの未来を摘むこともあるし、誤認逮捕を生むかもしれないし、しなくてもいい手術をするきっかけになるかもしれない。とくに怖いのは、その職人社会の通説になっているような『信念』です。職人一人一人の『信念』と違って、責任の所在がどこにあるのかわからない。強いジュニアを育てるには、こうでなければならない。住む人のことを考えたら家はこうでなければならない。この病気の治療はこうでなければならない。個人ではなく、職業全体が共有する『信念』が怖いです。
その怖さに気がついて、てきと~な態度を示す職人がいれば、僕はその人を信頼してしまうかもしれません。。。
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