独善的にいこう!
火曜日の朝、五時起きでテレビにかじりつきました。私の中では、一年に二回しかないビッグイベントであるエル・クラシコを見るためです。
みなさんご存知だと思いますが、エル・クラシコとは、サッカーのスペインリーグ二強であるFCバルセロナとレアルマドリードの直接対決のことです。日本ではまだまだファンのみしか関心のないイベントですが、ヨーロッパではビッグイベントです。ここ数年は世界中の人が注目しているといっても過言ではないと思います。もちろん私は留学先でもあったバルセロナの大ファンであり、WOWOWに加入し、帰国以来6年間欠かさずに全試合を見ています。今日は、かなりFCバルセロナよりの意見が多くなると思うので、マドリニスタの方には最初にあやまっておきます、ごめんなさい!
まず最初にFCバルセロナの哲学を紹介します。色々な言い方がありますが、私が一番このサッカーチームの哲学を表現しているなと思うのは『美しく勝利せよ!』というものです。美しいサッカーをして、勝利する。テニスも同様ですが、『勝ち』を優先するとどうしても守りがちになり、美しいテニスを捨ててしまいがちです。FCバルセロナはとにかく攻めます。華麗にパスを繋いで、見るものを楽しませます。そして強い。サッカー玄人でなくても『見て』楽しいサッカーです。プロチームとして最高ですよね!お金を払って見る価値があります。
では、なぜそのような困難なことに挑戦するチームができるのか?それは、『カンテラ』と呼ばれるジュニア育成チームを持っていて、幼少の頃からその哲学を叩き込まれているからです。自らのチームで育てたプレイヤーをそのままトップチームでも使う。他のビッグクラブは、優秀な選手はお金で買います。優秀な選手とわかってから買うわけです。でもそれでは、『美しく勝利せよ!』の哲学を植え付けることはできません。どうしても、優秀な選手を使って、守りから入ってじっくり攻めるサッカーになってしまいがちです。自分達のスタイルを持っていて、それが世界一のスタイルであると自負している、そんなサッカークラブなのです。
そして、ここ数年世界を席巻している同じようなスタイルのチームというか企業があると思いますAppleです。iPhone、iPadを筆頭にiMacシリーズなど、自分達がいいと思うスタイルを追い求める。自社での開発にこだわり他社の技術を入れることをしない為、動きがシャープで使使用時のストレスが他のスマートフォンと全然違います。『顧客が使いやすい』を実現できているのだと思います。
それに引きかえ、日本でも電子書籍端末が登場しましたが、まずPCに接続しないと書籍がダウンロードできないなど、あり得ないくらい不便なものが出来てしまう。間違いなく、お客様に近い所で仕事をしている製作者達は、ものすごく反対したと思います。でも意見が上に上がって行くにつれ、なんやかんやと文句が入り,お客様目線の意見が消されて行く。
この『お客様目線』を何よりも大切にしているのが、AppleでありFCバルセロナであると思います。FCバルセロナの『美しく勝利せよ!』Appleの『お客様の生活を変える』などの哲学を商品化するには『独善的』な経営スタイルが必要なのではないでしょうか?『独善的』とは、自分だけが正しいと思い、ほかの人の意見を聞き入れなかったりするという意味です。簡単にいうと、独りよがりです。当然、ものすごくリスクがつきまといます。
私はテニスのジュニアプレイヤーにももう少し『独善的』になって欲しいと思ってます。特に日本の社会では、『独善的』なことは注意され、よくないことだと言われます。それだけに、、テニスくらいは『独善的』にプレイして感性を磨いてもらいたい。『独善的』にプレイするということは、『責任は自分で取る』ということです。
こういう意見をすると、『良い意味で独善的なプレイをすると良いよね。』なんて言われますが、良い意味でって何?って思ってしまいます。それって『独善的』じゃないでしょ?って思います。『良い意味での独善的』ならその裏にある『自分で責任を取る』という行為もなくなってしまいます。『独善的』にプレイして、負けて、責任とって落ち込んで、後悔して学んで行けばいいと思います。
もちろん、FCバルセロナやAppleの方が、世界的に見ても特別な少数派の存在であることはわかっています。しかし、感受性の強い子ほど、FCバルセロナやAppleから刺激を受けてテニスにも生かしてくるでしょう。指導者としてその芽を摘んではならないと思います。
先日Twitter上で、『今だに鈴木貴男選手のテニスが一番魅力的だ。』というつぶやきがありました。私も全く同感でした。他のプレイヤーとは違う、まさに『独善的』なスタイルなのです。それは単にプレイスタイルがサーブandボレーだからという理由だけではなく、鈴木選手から湧き出る雰囲気の中にそれを感じるのだと思います。
同じ1976年生まれの鈴木選手がまだ頑張っている、俺ももっと良い意味で『独善的』いこう!違う違う!俺も、『独善的』にいこう!
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